洋画

【映画感想】『髪結いの亭主』~少年期に刷り込まれた憧れの女性観の行方は~

何年か前の深夜に民放で放送していたのを何となく観てハマったフランス映画。
あと数時間後にWOWOWで放送されるのを知り、急遽録画。
果たして、2度観しても良かったと思える(た)のだろうか?

映画概要

ミニシアターでロングランを記録。日本にP・ルコント監督の名を知らしめた秀作。子どもの頃からの夢を実現させ、髪結いの夫となった中年男性の姿をユーモアに包んで描く。


WOWOW番組説明より

映画内容

少年時代、髪を切ってくれた理髪店のシェーファー夫人に女性を感じ、以来理容師の夫になることを夢見るアントワーヌ。中年となった彼はふと入った理髪店で美人の理容師マチルドに一目惚れし、その場で求婚。その時は相手にもしなかったマチルドだったが、3週間後、彼が再び来た時、なぜか彼女からのプロポーズを受け入れた。念願の《髪結いの亭主》となったアントワーヌは至福の時を過ごし、たちまち10年の月日が経ち・・・。


WOWOW番組説明より

出演/関連情報

(1990年 フランス)
【原題】Le Mari de la Coiffeuse
【監督】パトリス・ルコント
【脚本】パトリス・ルコント
【出演】ジャン・ロシュフォール、アンヌ=マリー・ピザニ、アンナ・ガリエナ、ロラン・ベルタン、モーリス・シュヴィ、フィリップ・クレヴノ、トマ・ロシュフォール


WOWOW番組説明より

2度観前の感想

WOWOWに限らず、深夜にやってる映画=エロいっていうイメージがあるんですよ。あるいは、万人受けはしないかもしれないけれど、何か心に残る、響くっていうイメージが。そういう映画だからこそ、深夜にリラックスモードでボーっと眺めていると、あまり期待してみていなかっただけに、グイグイ惹き込まれちゃうんですよね。だから、本当はあと数時間後にリアルタイムで観直したかったんだけど、明日は仕事なんでムリです。録画して後から観ることにします。

2度観前にこの作品のことを想い返してみると、こんな感じでしょうか。

  • ハデな展開は無い
    そりゃそうですよ。だって『髪結い(=床屋)の亭主』ですよ?まあ、床屋=ハサミっていう連想をすれば、店に訪れた客をハサミで切り刻む=スプラッター映画なんていう連想ができなくもないですが、そういう作品ではありません。しかも、場面が床屋の店内以外ほとんど出て来なかった記憶があります。
  • 主人公が少しヘン(タイ)
    「番組内容」の項にもある通り、 

    少年時代、髪を切ってくれた理髪店のシェーファー夫人に女性を感じ・・・

    ですからね。う~んでも、百歩譲って分からなくもない、それは!少年時代って、性に芽生える瞬間がありますからね。けれど、少なくともオレは、床屋のオバサンに欲情はしなかったなぁ…。なんせ、見た目がつんくみたいだったからなぁ…。
    プラス、主人公のヘンなトコロは店内でヘンテコな踊りをするところ。何か理由があったハズなんだけれど、見返す前の現時点ではそこまでは覚えてないです。上記の通り、ハデな展開は無く、しかも床屋の店内の日常を切り取った映画なんだけれど、このヘンテコな踊りのせいで日常が非日常に感じてしまった記憶があります。

  • 少しエロティック
    床屋のオバサンに女性を感じるシーンからして少しエロティックではあるんですが、なんせ相手はオバサンですからね…。いや、世の中キレイなオバサンもいますよ?ただ、このオバサンは少し太ましいというか…。いや、世の中「デブ専」という人もいますよ?僕も太過ぎor細過ぎの二択を迫られたら僅差で太めの方を選びます。
    ・・・それはさておき、少しエロティックの要素の大半を秘めるのはこのオバサン=シェーファー夫人ではなく、ヒロインのマチルドです。何か、胸元が開いた服を着ていたり、スリットの入ったスカートを履いていたイメージがあるんですが、これも2度観前ではうろ覚えです。
  • 最後が切なく、不可解
    これは確信部分ですね。ネタバレが過ぎない程度に書くと、別離があると思って下さい。これがまた、意味や理由のある別れならまだ分かるんですが、そういうのをあまり感じ取ることができなくて、ただただ不可解で衝撃的だったなぁ…。この別れがある故に切ないワケですが、別れた後、残された側の方の日常が淡々と描かれるのが切なさにまた一段と拍車をかけていた覚えがあります。

2度観後の感想

1時間チョイの映画なので、仕事から帰ってきてすぐに観終えましたが、やはり良い映画でした。2度観てもおもしろいってのは名作の条件の1つではないでしょうか。僕の中で何度観ても楽しめてしまう映画の筆頭はダイ・ハードシリーズ(特に3)なんですが、本作「髪結いの亭主」は確実にダイ・ハードとはまったくジャンルの異なる作品です。だから、特定のジャンルにのみグサリとヤラレるワケでも無さそうですね。

それはさておき、2度観後の感想ですが、2度観前のうろ覚えの印象と大きな違いは無かったですね。ただやっぱり、2度観ることでよりハッキリわかるモノがあった気がします。

  • ハデな展開は無い→そのとおり
    主人公アントワーヌがヘンテコな踊りを踊り出したり、別離のラストシーンはハデと言えばハデでしたが、それは別にダイ・ハードみたいにドカーン!だのバキューン!だのするワケじゃないですから、ね。
  • 主人公が少しヘン(タイ)→性癖が歪んでるけどマチルドには受け入れられているからOK
    少年時代に通い詰めた床屋の女性に相当アタマを持っていかれたんでしょうねぇ・・・。
    「シャンプーされてる時にアタマに当たる胸の心地良さ」とか
    「他の客は毛嫌いする独特の体臭までもタマラナイ」とか言ってましたからねぇ・・・。
    まあ、美貌の女性マチルドには独特な体臭に関する描写はありませんでしたが、他の客の散髪中のマチルドの胸のボタンのスキマをガン見したり、結婚前に、夜、店の向かいの物陰から2階の窓辺に映るマチルドのシルエットを眺めながら「火照ったカラダが・・・」とかどうのこうのって言ってましたからね、中年のオッサンが。
    もうね、男性諸氏なら特に分かるかと思うんですが、中学生の辺りって、ありとあらゆる「性なる妄想」を繰り広げるじゃないですか。そのまま年を取ったんですよ、カレは。
  • 少しエロティック→そのとおり。性描写も少ないし、露骨ではない
    前項と被る内容ですね。まあ、そんな偏執的なカレですが、マチルドへの告白は何故か成就し、結ばれるワケです。「何故か」とは言ったものの、多分、告白時のアントワーヌの真剣さと、彼女自身もあまり過去を語りたがらなかったり、孤独を好んでいたりと変わり者だったからOKを出したんでしょうね。
    結ばれた後は文字通りアントワーヌは『髪結いの亭主」となり、働かずにマチルドが働いている姿をソファーに座りながら眺めているワケですが、客がシャンプー中で目をつぶっているのをイイコトにマチルドを背後からお触りしたり、客が帰った後、カギをかけたりシャッターを閉めたりもせずに店内でおっ始めたりと、愛を育むワケです。
    でもね、下はともかくとして、乳首すら出て来ないので露骨ではないんですよ。けれど、それは出さなくて正解。出すとこ出したり、ディープなキスさえしたりしてたら、タダのエロ映画になってしまう。「偏執的でありながら純愛」っていう、ピュアと言うか上品と言うか、そんなオブラートに包まれた繊細な感じが崩れ去ってしまう。だから、あの程度の性描写で正解だと思います。これがフランス映画の放つ独特な世界観なんでしょうかね。匙加減的な。※と言っても、他に観たことのあるフランス映画でパッと思い出せるのって「アメリ」とリュックベッソン監督の何らかの作品だけなんですが・・・。
  • 最後が切なく、不可解→不可解さは何となく解けた気がする
    ちょっとネタバレ
    ラストに近付くにつれて、脇役たちが「死」について語るシーンがチョイチョイ出てくるんですよ。それを聞いているうちに、自分も徐々に老いて死に向かっていくっていうのを想うと、耐えられなくなったんでしょうね。長く連れ添うことで「今が1番幸せ!」って感じる瞬間が塗り替えられていく可能性もあるんですが、そうとも限らない。今が1番幸せかもしれない。
    また、これまでの人生を振り返ってみてもロクなことが無かったけど、やっと運命の人と巡り逢えた。幸せ!けれど、またいつ昔のようにヒサンな境遇に逆戻りしてしまうとも限らない。
    そうやって自分1人の中でグルグルと想いが駆け巡った末に、ハタから見ると「え、何で??」っていう行動を取ってしまったと・・・。

終わりに

いかがでしたでしょうか。
妖艶なマチルド役を演じたアンナ・ガリエナさんですが、この方はフランス人ではなくイタリア人とのこと。妖艶なイタリア人女優と言えば、映画「マレーナ」のモニカ・ベルッチを思い出さずにはいられません。女優ではないですが、イタリアのバレーボール選手フランチェスカ・ピッチニーニも美しく、中3の頃に世界バレーでドはまりしましたのも覚えています。イタリアは名作「ローマの休日」の舞台にもなった国ですし、1度は行ってみたいですね・・・。

また、主演のアントワーヌ役を演じたジャン・ロシュフォールさんですが、去年お亡くなりになっていたんですね。
のみならず、WOWOWでは最後に翻訳者の名前が出るのですが、本作品では寺尾次郎さんという方でした。この方、何の気無しに検索してみたら、かつて山下達郎さんが所属していたシュガーベイブというバンドでベースを担当されていたということを知りました。楽器も弾けて翻訳もできる多才な方だったようですが、この方も今年の6月にお亡くなりになっていたようです。
生前の活動をよく知らなかった私ですが、お二人のご冥福をお祈りいたします。

本作はどうやらブルーレイ化はされていないようですが、そもそもが少し古い映画ですし、デジタルリマスター版ならばDVD画質でも十分に視聴に耐え得ると思います。現にWOWOWでの放送では全く気になりませんでした。気になった方はぜひ購入してご覧になってみて下さい。ハリウッド映画には無いフランス映画の魅力に出逢えるハズです。


 Amazon:2018年発売のHDリマスター版/Yahoo!および楽天:2002年発売の中古品/セブン:2010年発売のデジタルリマスター版

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